会計士の働き方(その2)ーマルチタスクー
先日、書かせていただいた会計士の働き方の続編です。
先日の記事はこちら⬇︎
https://jimaccounting.com/?p=587
会計士は、通常、数名のチームをつくって一つの会社の監査にあたります。
作業の開始に先立って、誰がどの科目を担当するかを決めますので、
それぞれの会計士はまず自分の担当となった科目の監査手続に入ります。
ところで、監査手続を実施するには何らかの「資料」が必要になります。
「預金」勘定を監査するのであれば、銀行確認状(銀行から入手する、
預金や借入金などの銀行との取引について書かれた書面。)や残高証明書、
預金通帳などの「資料」が必要になります。
(資料だけでなく、質問や観察によって得られた「情報」も監査には必要ですが、
以後、資料だけに話を限定します。)
これらの資料は会社やその取引先から入手するものであり、
会社が資料を出してくれない限り監査を進めることはできません。
そんなとき、資料が出てくるのをただ待っていたのでは、
時間内に監査を終えることができません。
資料は科目ごとにさまざまなものがありますが、
会社に行く前に依頼できるものはあらかじめ依頼しておきます。
そうすれば、現場に到着したその日からある程度の手続きはできるわけです。
まずは、準備ができている資料を処理していき、
足りないものは都度その場で依頼していきます。
新たに依頼した資料を待つ間、今ある資料で今できる監査手続をしていきますが、
一つの資料で一つの科目の監査手続が終わることはまれで、
①資料を依頼する
②資料をもらう
③手続きする
④資料を依頼する
・・・というサイクルを何度か繰り返すことになります。
①から②までの間はタイムラグがあるので何もしないと手待ち状態になってしまいますが、
そうならないように別の科目の手続きをして、手待ち状態を絶対につくらないようにします。
したがって、会計士は複数の科目を同時に監査するというマルチタスクな仕事の進め方を、
どうしても身に付けることになります。
さらに、監査の現場では人の配置が頻繁に入れ替わることもありますし、
作業負荷を調整するために他の会計士の作業を手伝ったり引き継いだりもします。
なので、マルチタスクの幅も状況によって大きく変わることになります。
このようなマルチタスクをうまく進めるためには、
以下のような前提条件をクリアしなければなりません。
(A)一人の会計士がどんな科目でも監査できる能力をもっている(多能工)
(B)一つ一つのタスクの進捗状況を常に把握・管理している(進捗管理)
(C)その進捗状況は自分だけでなくチーム全体で共有している(情報共有)
(A)については、経験が少ないと、どんな科目でもというわけにはいきませんが、
ここは現場主任がうまく科目を配分したり指導したりしてカバーします。
(B)については、うまくやるにはある程度の経験はいりますが意外に早く身につきます。
監査のときは頭が戦闘モードになっているので、自分が今、何を依頼していてるか(していないのか)、
手続きは何がどこまで済んでいるのか(済んでいないのか)などはきちんとわかっています。
(自分も監査人時代、複数の会社に同時につかわされましたが、
どの会社のどの科目の手続きがどんな状態にあるかを正確に記憶していました。)
やっかいなのは(C)です。自分の頭ではわかっていても、
それを他人に伝えることは全く別のことだからです。
しかし、進捗状況を伝え損なうと、同じ作業を二度やってしまったり、
やるべき作業がもれてしまったりします。
そうならないように、手続きの過程や結果を途中まででもしっかり紙などに落とす、
難しいことは口頭でも伝えるなどの工夫をしますが、会計士のセンスにも左右されます。
これがとても上手い人と同じチームになれると幸いなのですが。。。
マルチタスクな仕事の進め方は、環境変化に柔軟に対応できるという強みがあります。
現代のように、環境がころころ変化する状況で生き残るために、
ぜひ身につけておきたいスキルです。
もしかしたら、働き方改革にも使えるかもしれません。
以上
【連絡先】
JIM ACCOUNTING(児島泰洋公認会計士・税理士事務所)
代表 児島泰洋
メール: yasuhiro.kojima@jimaccounting.com
以下のフォームからもお問い合わせいただけます。
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