財務デューデリジェンス(財務DD)とは

(※)過去のブログを復活させたものです。画像はイメージです。

財務デューデリジェンス(財務DD)とは

 

名古屋の公認会計士・税理士の児島泰洋です。

M&A(会社の合併買収のこと)に関わったことがないと、デューデリジェンスという言葉には馴染みがないかもしれません。 株式資本主義の世界では、会社であっても売買の対象になります。(筆者は大人になって、会社がお金で買えると知ったとき、とても驚いたものです。) 会社というものは本来は事業活動そのものですが、株式(※)を発行している場合はその株式を握ったものが、会社の事業活動を支配し自分のものとすることができます。 (※)ここでは話を単純化するため、上場株式は除くことにします。

しかし、「会社を買う」(厳密にはその株式を買う)ってなかなか日常的にはないことですよね?

そのため、以下の理由で、「会社を買う」行為は日用品などを買う行為に比べて、はるかにリスクや難易度が高くなります。

①自分が買おうとしているものの価値や内実がつかみにくい
②それなりの高額な買い物になる
③買う前と買った後で価値が変わってしまうかもしれない
④思いも寄らないおまけがついてくることがある
⑤返品は普通できない などなど

①について。会社の事業活動がどれほどの価値をもっているのか、内実はどうなのかといったことは、外部の第三者にはなかなか知ることができません。決算書くらいは入手できるかもしれませんが、それが正しいとは限りませんし、それだけでは十分とは言えません。

②について。「会社を買う」ということは事業活動そのものとそれに必要な人員・設備・ノウハウをすべて取得するということですので、規模にもよりますがまとまった資金がいります。

③について。会社を買った前と後では、経営者やキーマンとなる重要な従業員がかわってしまうこともあります。事業活動は人が行うものですから、誰が経営するかによってその価値は大きく変わってしまいます。

④について。会社を買うときのスキームにもよりますが、会社を買ったら全然知らなかった隠れ負債」「隠れ損失」といったおまけがついてくることがあります。

⑤について。買った会社の業績が予想より悪く、それに不満を持ったとしても、普通、株式を後から返品することはできません。

買収者が会社を買うときは、上記のようなリスクを考慮して、「売買契約書」に折り込みますが、それだけでは十分とは言えません。

そこで、買う会社の価値やリスクを調査するという「デューデリジェンス」(直訳すると「当然の注意」。以下、DDという)という手続きが登場します。

DDには事業DD、財務DD、法務DDなどいろんな種類がありますが、以下では財務DDについてだけ説明させていただきます。

財務DDでは、会社の貸借対照表を構成する資産・負債の調査を中心に行います。といっても具体的な作業内容は、公認会計士が行う監査にかなり似ているので、財務DDは公認会計士に依頼されることが多いです。

作業内容は監査と似ていても、作業環境は大きく異なります。普通はあまり時間がありませんし、買う者と買われる者に挟まれながら仕事をしないといけないため、独特の緊張感にさらされます。

ここでも、公認会計士の「網羅性」に対する嗅覚がいかんなく発揮されます。「網羅性」についてはこちらを参照してください。
⬇️「悪魔の証明?網羅性」
https://jimaccounting.com/?p=666
必ずしもすべてとは限りませんが、「隠れ負債」「隠れ損失」があればレポートにしっかりと記載します。

また、成果物は監査調書ではなくて財務DDレポートになりますが、買収者の判断に資するように十分にわかりやすく、かつ、詳細でなければなりません。パワーポイントで作ると数十枚、ときには数百枚に及ぶこともあります。

このように、公認会計士はM&Aにおいても、とても有益なサービスを提供することができます。ぜひご活用ください。

【連絡先】
JIM ACCOUNTING(児島泰洋公認会計士・税理士事務所)
代表 児島泰洋
メール: yasuhiro.kojima@jimaccounting.com

 

以下のフォームからもお問い合わせいただけます。

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