新人にはきつい?実地棚卸の立会

(※)過去のブログを復活させたものです。

新人にはきつい?実地棚卸の立会

名古屋の公認会計士・税理士の児島泰洋です。

新人会計士が任される仕事はだいたい決まっていて、例えば、現金・預金や資本金といった勘定の監査を割り振られます。現金は期末に数えればいいですし、預金はほぼ絶対的な証憑である銀行確認状(銀行に依頼して銀行口座残高などを記入してもらうもの)と突き合わせれば良いですし、資本金はそう動く勘定ではなく登記簿謄本などと突き合わせてしまえば簡単にチェックができるからです。

棚卸資産の実地棚卸の立会はどうでしょう。実地棚卸というのは少なくとも年に一度実施される棚卸資産の一斉カウントのことです。立会とは、実地棚卸の現場に赴き一斉カウントが正しく行われているかを観察すること、そして、棚卸資産リストにある在庫数量と現物の在庫数量が合っているかを自分でもいくつか調べることです。これも新人会計士に割り振られることが多い仕事でした。

数量のカウントだけであれば、事前にレクチャーを受けていればそう難しいことでもないかもしれません。とはいえ、物によってはそう簡単にカウントできないものもあります。左右一対で1つと数えるものもありますし、個数ではなくて重さや長さでカウントするもの、目盛りを見てカウントするものなどいろいろあります。

それをクリアできたとしても、実地棚卸の立会は、実地棚卸という会社の行為自体が正しく行われているか(数え方や記入の仕方が正しいか、全部くまなく数えたか、数えなくていいものまで数えていないかなど)も観察しないといけませんので、新人がいきなりそこまでチェックするのはハードルが高い気もします。

それよりももっと難しいのは、棚卸資産の評価です。数は合っていても、そもそも今後商品として売れるのか売れないのかはまた別の問題で、立会ではそのような売れそうにない商品がないかどうかも重要なチェックポイントです。

具体的には、埃をかぶっていたりして明らかに長期間動かされた形跡がないもの、破損したり汚れているもの、時代遅れになってしまったものなどがないかをチェックします。これも実際はなかなか難しいです。素人がちょっと見たぐらいでわかるものではありません。新人会計士はどうすれば良いかというと、ひたすら気になったことを聞くしかありません。会社の担当者がすらすら答えてくれれば、ひとまず問題はないでしょうし、それでもわからなければメモだけ取っておき持ち帰ってから調べればよいでしょう。

他にも棚卸資産の保管状態がよいかどうかもチェックポイントになります。物の形状にあわせたラックにしまわれているか、温度や湿度は適切か、外部からの侵入対策はできているか、整理整頓や清掃は行き届いているかなどもさりげなくチェックします。棚卸資産の評価に関係することもありますし、そうでなくても立会結果の講評を求められたときのネタになります。

実地棚卸の立会は会社のビジネスの一端に触れることができるとても貴重な機会でもあります。難しい監査手続ですがとてもやりがいのある仕事です。

【連絡先】
JIM ACCOUNTING(児島泰洋公認会計士・税理士事務所)
代表 児島泰洋
メール: yasuhiro.kojima@jimaccounting.com

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