Excelファイルの落とし穴

(※)過去に公開したブログを復活させたものです。画像はイメージです。

Excelファイルの落とし穴

名古屋の公認会計士・税理士の児島泰洋です。

Excelは会社の業務運営に欠かせない便利かつ汎用的なソフトウェアです。
Excelは基本的な使い方さえ覚えてしまえば、誰もが自分好みの資料を作ることができます。
私が監査などで会社に訪問すると、経理部の方から決算関係資料をExcelファイルでいただきますが、ときどきとても困った事態に遭遇します。

Excelファイルは、最初に作られたときからの年数の経過、作成担当者の交代などによって、次第に複雑怪奇になっていきます。そのため、私が検証しようとしている数字がいったいどこからどういう過程を通じて作成されたのかが、まったくわからないことがあります。

例えば、

(シート1のセルA1)が検証したい数字だとします。ところがセルA1はシート2のセルB1を参照していました。

→(シート2のセルB1)シート2のセルC1とシート3のセルD1を掛け合わせている

→(シート3のセルD1)シート1のセルEを参照している

→(シート1のセルE1)・・・

といった具合に、どこまで行っても元になった数字に行き着かないことがあります。やっと行き着いても、今度は始めのシート1のセルA1まで戻るのに時間がかかる。。。

こんなことになってしまうのは、Excel表計算をしっかり「構造化」しようという発想がないからです。担当者が最初にファイルを作ったときは何気ない気持ちで始めたでしょうし、簡単なものならそれでもなんとかなります。しかし、複雑な加工計算が必要な場合は、全体の構造を決めてから作らないと、参照を繰り返してシート間を行ったり来たりするなど、いたずらに複雑なExcelファイルになってしまうのです。

こうなってしまうと、検証する側だけではなく、作成する側も困るはずです。作業を引き継ぐたびに、説明に多くの時間がかかりますし、その説明すら十分にされないことがほとんどでしょう。そうなると、いつか誰かがExcelファイルの使い方がわからなくなり、間違いを起こすことになります。

実際、このような複雑すぎるExcelファイルを使っていて、計算を間違える例を何度も見てきました。Excelファイルがあまりに複雑になってしまった場合は、思い切って作り直すことも検討してみてください。

ではどうすればよいかというと、例えば、次のように各シートの役割を決めてしまうと、とてもすっきりします。

    1. パラメーター(年度、日付、率、係数、人数など)だけを設定するシート
    2. 元となるデータを貼り付けるだけのシート
    3. データを加工計算するだけのシート
    4. 加工計算した結果を表示するだけのシート

3以外のシートは普通は1枚だけで十分です。3のシートは加工する工程が多くなればなるほど、増える可能性があります。したがって、工程をいつくかに分けて適当な単位ごとにシートを作ると良いでしょう。

計算内容や表示方法が変わらなければ、1のパラメーターの変更、2のシートへの当期データの貼り付けだけで作業は終わってしまいますし、間違える心配もなくなります。

読者の会社にはこのような複雑怪奇化したExcelファイルはありますか?もしあれば、一度作り変えることをご検討ください。

 

JIM ACCOUNTING(児島泰洋公認会計士・税理士事務所)
代表 児島泰洋
電話: 090-1811-5461
メール: yasuhiro.kojima@jimaccounting.com

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