IASBがのれんの会計処理と開示に関するDPを公表

のれんの会計処理および開示に関するDP(Snapshot)の紹介

 

名古屋の公認会計士・税理士の児島泰洋です。

IASB(※)が2020年3月19日にのれんの会計処理と開示に関するディスカッションペーパー(以下、DPという)を公表しました。

Discussion Paper DP/2020/1
「Business Combinations – Disclosures, Goodwill and Impairment」
IASBのサイトへのリンク

今回はこのDPの概要であるSnapshotの内容について解説させていただきます。

(※)International Accounting Standards Board、国際会計基準審議会
国際的な会計基準であるIFRS(国際財務報告基準)を開発する機関

目次
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①目的
②IASBの予備的見解

③まとめ
④今後の進め方

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【①目的】

企業が他の企業を買収したときの従来の会計基準(IFRS第3号「企業結合」)について、IASBが基準利用者に対して意見を求めたところ、以下のような問題が寄せられました。

IASBは上記の問題に対処するため、新しい会計基準を開発するための議論のたたき台となるDPを公表し、意見を求めることにしました。

【②IASBの予備的見解】

上記の問題に対するIASBの予備的見解は以下の通りです。

上記の関係者の懸念との対応関係は以下の通りです。

IASBの予備的見解は現行の会計基準を大きく変えるわけではありませんが、投資家が求める情報の開示と、実務家が求める減損テストの簡素化に配慮した内容となっています。

予備的見解①について

投資家は経営者がいかにうまく買収を実行し、その後どれほどの成果を上げたのかという情報を求めています。しかし、従来の会計基準はそのニーズには答えていませんでした。

そのため、IASBは買収の目的と当該目的が買収後どの程度達成されたかに関する情報を企業に開示させようとしています。

ただし、企業のChief operating decision maker(最高業務意思決定者)が買収した事業に対して行うであろうモニタリングの方法を尊重して、当該方法によるモニタリングの情報を開示することとしています。

予備的見解②について

Ⓐ減損テストをより効果的にできるか?

減損テストについては2つの問題が指摘されており、これに対するIASBの見解は以下の通りです。

Ⓑのれんは償却すべきか?

IASBは話題となっていたのれんの償却には消極的な姿勢をとっていて、今までどおり減損テストのみを行うアプローチを維持すべきであるという見解をとっています。

なぜなら、のれんを償却することが重要な改善につながることを認めざるを得ないような証拠はないからであるとしています。

なお、のれんの償却と減損テストをそれぞれ支持する主張は以下の通りです。

Ⓒ減損テストを簡潔にできるか?

IASBはこの問題に対しては以下のような肯定的な見解を示しています。

①のれんの減損の兆候がなければ、毎年度の減損テストは求めない。ただし、そのような兆候が存在するかどうかの評価は求められる。

②使用価値の見積りにあたっては、以下の通りとされました。

・確約のない将来のリストラまたは資産の増強からのキャッシュフローを含めることに対する制限を取り除く

・税引後の割引率および税引後のキャッシュ・フローの使用を認める

予備的見解③について

IASBはのれんを除いた純資産の金額をBS上に表示することによって、のれんを投資家に対してより際立たせるようにするとのことです。

企業結合のときに認識されるブランドなどの無形資産については異なる見解があるものの、IASBはその範囲を変更する納得感のある証拠はないとしています。

【③まとめ】

IASBの予備的見解をまとめると以下の通りです。

【④今後の進め方】

IASBはDPに対するコメントを2020年9月15日まで募集しています。

その後、IASBは受け取ったコメントを検討し、公開草案を開発するかどうかを決定するとのことです。

以上

JIM ACCOUNTING
代表 公認会計士・税理士 児島泰洋

 

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